家造りコラム

桂離宮は究極のリノベーション住宅

ドイツの建築家ブルーノ・タウトが「それは実に涙ぐましいまで美しい」と絶賛したという桂離宮。日本庭園として最高の名園ともいわれる、日本の美を凝縮したような別荘です。

この桂離宮は、八条宮家初代智仁親王によって1615年(慶長20年・元和元年)頃、古書院が造営され、続いて二代智忠親王によって中書院が増築されました。その後、同じく智忠親王によって楽器の間と新御殿とが増築され、現在に見られるような御殿の全容が形成されたのです。

東に比叡山、西に愛宕山を望む山紫水明の地は、かつて藤原氏の別荘もあった場所。桂川の西岸の広大な敷地に、智仁親王は桂川から引いた水で池をつくり、池の周りには趣の異なる4つの茶屋とふたつの腰掛、持仏堂を配し、変化に富んだ苑路を設け、見事な池泉回遊式の日本庭園をつくり上げます。

智仁親王の跡を継いだ智忠親王は、荒廃が進んだ古書院を
リノベーションし、中書院を増築し、さらに新御殿、茶室を増築。今日まで伝わる「桂離宮」の姿を整えました。

智仁親王と二代智忠親王の親子2代に渡り、精魂を込めて、50年の歳月をかけて作り上げた桂離宮は、究極のリノベーション住宅といえます。