私たちの家造り

古民家再生


日本の伝統的な古民家は、風雪に耐え、大きな地震の揺れを経験し、幾節の年月を経て今日に残っています。
地元に育った木と、地域の人々の技術で造られた住いであり、暮らす文化の結晶といえます。

経済・社会構造や生活様式の変化のなかで、取り壊されることが多かった古民家でしたが、人々が古民家の持つ魅力に改めて気付いたことで、古民家を改築をして快適に暮らたしたいと願う家族が増えてきました。

私たち現代人が、日本古来から伝わる伝統的建築をもう一度見直すことによって、古民家から学ぶことはたくさんあります。先人たちの知恵に、新しい建築技術を加えることで、地域の環境に適した快適な暮らしの場となります。

「築100年の蔵を取り壊して、新しい家を建てたい」 というご相談がありました

あるご家族から、明治時代に建てられた築100年の蔵を取り壊して、新しい家を建てたいというご相談がありました。伺ってみると、切り妻屋根に瓦が乗り、外壁を銅板で葺かれた、立派な佇まいの2階建ての建物でした。内部は古い家の独特の臭いがしましたが、どっしりとした家の存在感に、圧倒されました。

硬く踏みしめられた版築の土間、30cmの厚さがある土壁、大屋根を支える松の梁。自然の恵みによって築き上げられた空間には、程よい湿度と温度が保たれています。

先人達が残した築100年の蔵を、後世に残すことは、今を生きる私たちに求められる大切な役割だと感じました。その想いは、建て主のご家族をはじめ、親族のみなさんにも共感いただけ、ました。築100年の蔵を、再生して、後世に繋いでいこう! 取り壊しをせずに、リノベーションとして、蔵を蘇らせることを託されました。

一番の課題は光でした。蔵の中は日中でも暗く、照明を着けないと、歩くことも容易ではありません。そこで屋根面にガラスの天窓を設けました。屋根からの採光は、壁面の窓に比べて3倍も明るいのです。天窓の設置により、2階は劇的に明るくなりました。2階の明るさを1階にまで導くために、2階の床の一部を撤去して、強化ガラスを設置しました。もちろん歩いても問題ありません。1階の寝室と子供部屋にも、太陽の光を届けることができたのです。

動線を考えて間取りを検討する

古民家は、和室と和室が、障子だけで区切られていることが多く、現代の住まいの間取りと大きく異なります。個室としては使いにくいことも多く、寝具としてベットを好む場合は、畳の部屋は都合がわるいことになります。

リフォームでは、生活動線を考え、水回りの部屋とのつながりや、家族のコミュニケーションとプライバシーを保ちながら、暮らしに合った間取りを検討することが必要です。

断熱・遮熱・気密を高め、温度差を解消する

古民家は、夏が涼しく過ごせるように工夫されて造られています。
このため、冬場に室内の温度が下がり、隙間風が起こり、足元が寒く、厚着をするなど、生活面で工夫が必要です。

断熱材を工夫し断熱性能を上げ、近年の夏場の激しい温度上昇対策のために遮熱材を使い、
さらに家全体の気密性能を高めるといった現代建築の技術をすべて使います。
こうすることで、古民家が本来持つ、調湿能力や、空気浄化機能などが加わって、現代建築だけでは得られない、快適な住空間が完成します。