私たちの家造り

自然素材で仕上げる

漆喰

漆喰が建造物の仕上げ材として使用されたのは、今から約5000年前のこと。エジプトのピラミッドの壁に使われたのが初めてと言われています。4000年前に発祥した古代ギリシャ文明や、約2500年前ローマ時代の建築物、アクロポリスの神殿やポンペイの遺跡などでも、建造物の仕上げ材として漆喰が使われています。

日本では、約1300年の藤原京時代です。奈良県明日香村の高松塚古墳に、漆喰に描かれた壁画が現存しています。キトラ古墳の壁画も、同様に漆喰に描かれています。

漆喰は、消石灰を主成分とした建材です。消石灰は、サンゴが堆積して固まったものです。学校のグランドに真っ白なラインを引きますが、その白いラインが消石灰です。強アルカリ性のため、有機物を分解する殺菌機能があり、細菌の生育・増殖を抑え、カビやダニの発生を防止します。

漆喰仕上げ塗料・タナクリーム

石灰石は、珊瑚が堆積して長い年月をかけて凝固したものです。石灰石が採れる地域は、太古の昔、珊瑚礁が広がり熱帯魚が泳ぐ、沖縄のような亜熱帯の海だったのです。

石灰石は、炭酸カルシウム(CaCO3)が主成分となります。この石灰石を焼成すると、二酸化炭素が揮発して、生石灰(酸化カルシウム:CaO)が生成されます。この生石灰に加水することで、水和反応が起こり、漆喰の主材料となる消石灰(水酸化カルシウムCa(OH)2)が生成され、タナクリームとなります。

タナクリームは漆喰仕上げ材として建物に塗られると、消石灰は空気に触れ、乾き、時間の経過とともに二酸化炭素(CO2)を吸収し炭酸化し、石灰石となります。人の手間を掛けて加工し、漆喰仕上げとして使われた素材は、元の姿に戻るのです。

調湿機能

漆喰は、人が快適と感じるように湿度をコントロールしてくれる調湿機能を持っています。梅雨時など部屋の空気の湿度が高い時は空気中の水蒸気を吸収し湿度を下げてくれます。反対に、冬場など湿度が低い時には水分を放出し湿度を上げてくれます。
下の図は、タナクリームが空気中の湿気(水蒸気)を吸収する様子を、時間の経過とともにグラフで表しています。吸湿を始めてから短時間の間に、空気中の湿気を吸収していることが分かります。急に雨が降った時や梅雨時など、部屋の空気が湿って、湿度が高い場合には、タナクリームが調湿機能を発揮します。結露の発生を抑制しますので、建物を長持ちさせ、快適な室内環境をつくります。

調湿曲線(25℃・90%RH - 25℃・60%RH)
測定:建築仕上性能研究所

VOC吸着除去機能

家造りを進める上で、ホルムアルデヒドなど揮発性有機化合物(VOC)の発生を、できるだけ抑えることを心がけています。揮発性有機化合物をゼロにすることも可能ですが、木工用のボンドの使用もできなくなるため、当然コストアップにつながります。このため、一定の予算内で家を造る場合、微量のホルムアルデヒドの発生を許容していますが、タナクリーム揮発性有機化合物の吸着力を使うことで、限りなくゼロに近づけることが可能になりました。

消臭機能

タナクリームを使って仕上た家には、臭いがありません。料理の臭いとか、鰹節の臭いとか、生活臭を感じないのです。家が出来て10年以上も経ちますが、家を訪れると新築当時さながらの木の香りがします。ペットを室内で飼っていても、臭いがしません。タナクリームは、タバコやペット、生ごみなどの生活臭を吸着し分解します。

硫化水素吸着試験
測定:日本繊維製品品質技術センター

メチルメルカプタン吸着試験
測定:日本繊維製品品質技術センター

抗菌機能

タナクリームの主成分である石灰は、非常に強い殺菌機能があり、インフルエンザ菌も99.9%殺菌します。鳥インフルエンザが発生すると、鶏舎とその周辺に石灰を撒きます。白い石灰が散布されている映像を、テレビのニュース番組でご覧になったことがあるかと思います。

近年、漆喰で壁や天井を仕上た家で暮らしていると、風邪やインフルエンザにかかりにくいという統計が報告されています。当社が施工した家にお住まいの方に、いかがですかと尋ねると、みなさん、風邪を引きにくくなったとおっしゃいます。

梅雨時に、室内で洗濯物を干しても、洗濯物がいやな臭いになりません。

大腸菌抗菌試験

黄色ブドウ球菌抗菌試験

タナクリームは、すべて「土佐塩焼き石灰」を使用しています。

漆喰の品質は、主成分である石灰の品質で決まります。タナクリームは、最高品質の漆喰を目指していますので、すべて「土佐塩焼き石灰」を使用しています。土佐塩焼き石灰は、昔ながらので伝統工法によって、土中窯で焼成して生成します。土佐塩焼き石灰は、純度が高く、美しい白色をしています。漆喰に使ってもヒビ割れしにくく、コテでの施工性が良いのが特徴です。日本最高峰の日本伝統建築である桂離宮、皇室関連施設・京都御所、平成の大修理を終えた国宝天守・姫路城など、土佐塩焼き石灰を原料とする漆喰で仕上げられています。

昔ながらの塩焼き工法にこだわって、職人が、ゆっくりゆっくり7日間かけて、丁寧に石灰石を焼いています。朝6時、午前11時、午後3時の3回、コークスと塩を混ぜながら石灰石を窯に投入します。一日で焼ける量は、3トンです。
他社大工場では、重油焼きでわずか3時間で焼き上げ、一日あたり150トンと大量生産されています。

塩焼き窯の投入口です。石灰石が余熱で燃焼を始めています。右側に石灰石といっしょに投入されるコークスが見えます。

7日間かけて焼きあがった生石灰は、窯の7m下の取出口から運び出されます。

塩焼き消石灰(左)と重油焼き消石灰(右)の顕微鏡写真。焼き方によって生成される消石灰の結晶の形が大きく異なります。

焼きあがった生石灰の表面には、内部から浮き上がって出てきた不純物が付着しています。ひとつひとつ割って、内部までしっかり焼けているかどうかを確認します。うまく焼けていない石灰は、もう一度焼き直しです。

土佐塩焼き灰を使った漆喰仕上げの使用例

京都御所(京都府京都市上京区)

国宝天守・姫路城(兵庫県姫路市・世界遺産)

倉敷美観地区(岡山県倉敷市・伝統的建造物群保存地区)